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バンコクのBTSとMRT、最大40バーツの均一運賃へ。タイ政府、2025年から都市鉄道料金を一本化

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タイ政府は2024年9月、バンコク首都圏の都市鉄道(BTS・MRT・エアポートレールリンクなど)の運賃を最大40バーツの均一料金に統一する政策を閣議決定した。これまで会社・路線ごとにバラバラだった運賃が一本化されることで、通勤者は最大で月数千バーツ、観光客でも一日あたり100バーツ以上の節約になる見通し。バンコク市民にとって長年の懸案だった「乗り換えるたびに上がる運賃」が解消される。

何が変わるのか

  • 運賃が最大40バーツの均一料金に。BTS、MRT(ブルーライン・パープルライン)、エアポートレールリンク、SRTレッドラインの全路線・全区間で適用される予定。
  • 運営会社をまたいでも追加料金なし。これまでBTS(BTSC社)からMRT(BEM社)に乗り換えると初乗り運賃が再度発生していたが、これが解消される。
  • 段階的に導入。MRTパープルラインとSRTレッドラインで先行実施、BTSとMRTブルーラインへ拡大していく。完全実施時期は政権の予算措置次第。
  • 政府は運営会社への補填として年間約80億バーツの予算措置を見込んでいる。

なぜ起きたか

バンコクの都市鉄道は、運営会社ごとに別運賃体系で運用されてきた。BTSが17〜62バーツ、MRTブルーラインが17〜45バーツ、エアポートレールリンクが15〜45バーツと、乗り換えるたびに初乗りが加算される構造で、スワンナプーム空港からスクンビット中心部まで片道100バーツ超になることもあった。世界の主要都市と比較して高額すぎる運賃は、市民の利用率を押し下げ、結果的に道路渋滞の悪化を招いていた。

セター・タウィーシン政権(当時)は2023年の総選挙で「20バーツ均一運賃」を公約として掲げ、これを段階的に実施。後を継いだペートーンターン政権でも継続されている。財政負担は重いものの、観光振興と都市部の生活コスト引き下げの両面で効果が期待されている。

読者がいま取るべき行動

  • 旅行者:訪タイ予定なら、現地での移動費を従来より大幅に低く見積もって良い。空港〜中心部の移動も鉄道利用が現実的になる。
  • 在住者:通勤定期券(Rabbitカード、MRTカード)の購入を検討中なら、一度様子見も。均一運賃が完全実施されれば、定期券の優位性が薄れる可能性がある。
  • 不動産検討中の方:これまで「BTS駅徒歩5分」がプレミアム条件だったが、均一運賃により「乗り換え必須エリア」の物件価値が相対的に上昇する可能性。バーンスー、タリンチャン、ラチャダー方面が再評価される。
  • 具体的な施行日・対象路線はタイ運輸省(Ministry of Transport)の公式発表を確認するのが確実。

編集メモ

40バーツ均一運賃は、表面上は「市民の交通費負担軽減」だが、本質は都市構造の組み替えだ。これまでバンコクの不動産価値はBTSスクンビット線の駅近で決まっていた。均一運賃が定着すれば、価値の重心はゆるやかに「中心部から離れていても、鉄道さえ通っていれば良い」という方向にシフトする。中長期で見れば、ノンタブリーやサムットプラーカーン方面の住宅需要が伸びる構造変化の入口かもしれない。

同時に、政府の財政負担(年間80億バーツ)が政権交代で巻き戻されるリスクも残る。完全実施までは「政策の安定性」を見極めながら判断したい。


出典:タイ運輸省発表、Bangkok Post(2024年9月)、The Nation Thailand、MRTAニュースリリース。施行スケジュールは予算措置・政権動向により変動の可能性あり。